レディースホームFAQE.基礎体温と排卵に関するもの編

5.高温期がなく、ずっと低温期のままである

 

 

 排卵があると、その後基礎体温は上昇して高温期となります。
 従って、高温期がないということはすなわち、排卵が起こっていないということをを意味します。このような無排卵状態でも不順ながら生理が来る場合は多く見られ、これを「無排卵月経」といいます。
  (参考ーー「生理の量が少ない」「高温期が短いような気がする
       「生理が不順なのですが心配ないでしょうか?」 )  

 このようなケースでは、まず排卵が起こっていない原因は何かということで対処法が多少異なります。以下にそのいくつかについてを解説いたします。  

1)高プロラクチン血症
 これについては、こちらに記載がありますので参考にして下さい。     

2)ストレス
 排卵は、脳の中の間脳・脳下垂体というところで調節されています。
 ストレスというのは脳における自律神経の調節機構を乱す原因となりますが、この間脳・脳下垂体というのは自律神経の中枢と言える場所ですから、容易にストレスの影響を受けて調節機構に乱れを生じ、無排卵になってしまいます。ショックな出来事で生理が止まったり、スポーツ選手の生理が乱れたりするのもこういうことが原因となって起こるものといえます。  

3)ダイエット・肥満
 極端なダイエットにより間脳・脳下垂体系の働きが低下し、排卵が起こらなくなってしまうことがあります。
 またその逆に、極端に太ってくると排卵が起こらなくなる場合があります。
 いずれの場合でも一種のストレス性の無排卵と言えるでしょう。

 

 

 2)、3)による無排卵状態の場合、治療の基本は排卵を起こすことにありますが、年齢、既婚・未婚、挙児希望の有無などの事情によって異なるのが普通でしょう。挙児の希望がある場合は排卵誘発剤を投与することが当然考慮されますが、これについては こちらをご覧下さい。
 まだ未婚の場合、あるいは既婚でもまだすぐには挙児希望のない場合には、排卵誘発は行わずに自然経過を見るようにします。この時、漢方薬を投与しながら経過を見る(メサルモンFのような少量の混合ホルモン剤を併用すると良いという報告もあります)、ピルやホルモン剤投与によりカウフマン療法を3〜6クール試み、その後のリバウンド効果による自然排卵を期待する、などの方法も考えられます。
 以上のいずれでも排卵が起こらない場合は?
 こういう場合には、1、2度排卵誘発剤を投与してみることもあります。カウフマン療法と同様、やはりリバウンド効果を狙っての使用となりますが、しかしこれでも排卵が起こらない場合も当然のことながら良く見られます。
 そうした場合は投薬とともに生活上の注意をすること(バランスの取れた食事、ストレスの軽減、十分な睡眠の確保など)で経過を見るようにするのが一般的でしょう。排卵がきちんと起こるようになるまでは時間がかかるかもしれませんが、焦らず気長に治療を行っていくことが大切です。

 

 

4)内分泌系の異常
 甲状腺、副腎など、内分泌系統に異常があっても排卵に障害を来すことがあります。
   

5)多嚢胞性卵巣症候群(PCO)
 この疾患についてはこちらをご覧下さい。
    

6)卵巣あるいは間脳・脳下垂体系の機能不全
 初潮からずうっと生理不順で、そのまま来ているという人にはこのケースが多いでしょう。自然に治癒し排卵が起こるケースもまれではなく、またホルモン動態にも異常を認めないことが多いので自然経過を見る場合が多いでしょう。ただし、生理が3ヶ月以上ないことを放っておかないように気をつけて下さい。生理が3ヶ月以上ないままだと、子宮が退縮してしまい将来の妊娠に差し支えにならないとも限りませんので。  

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      ・生理が止まってしまった
       ・ホルモンバランスを崩すって、どういうことですか?