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7.排卵がない場合にはどういう治療をする? |
まず、未婚で生理がまばらだという場合には、通常は排卵誘発は行いません。するとしても、試しに一度誘発してみるという程度のもので、毎回排卵誘発をするということはあまりしないのが普通です。 一方、既婚で妊娠しても良い状況にある、もしくは望んでいるのになかなか妊娠しない、という場合には、排卵誘発を行います。
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上の写真は、経膣式超音波による卵胞のモニターの例です。 月経周期のいずれの時期にも、子宮・卵巣にこのような状態が認められない場合、排卵がないと判断し、以下のような治療を行うことになります。 最初はクロミフェン(商品名;クロミッド、フェミロンなど)またはシクロフェニル(商品名;セキソビッド)という内服薬を使用してみるのが普通でしょう。 |
なお右に、クロミッドによる排卵誘発によって排卵が起こるようになった方の卵胞の写真を掲載しました。この写真では右の卵巣に15mmと18mm、左の卵巣に15mmと22mmの卵胞が描核されていますが、このように一度に数個の卵胞が成熟してくるようになるケースが多いことは否めません。 |
クロミフェン以外では、高プロラクチン血症に対して用いるブロモクリプチン(商品名;パーロデル、テルロンなど)や、子宮内膜症で用いる経鼻薬(スプレキュア、ナサニールなど)を単独ないしはクロミフェンと併用して用いることもあります。 しかし、これらの治療法では排卵が起こらない場合もあり、このようなケースでは直接卵胞を育てるための注射(HMG、ないしはFSH)を用いることになります。代表的な薬剤としては、フェルティノームP、フォリルモンP、ヒュメゴン、パーゴグリーン、ゴナドリール、HMG日研、パーゴナルなどがあります。このうち初めの二つの注射薬はLHをほとんど含まない純度の高いFSH製剤で、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)に対しての投与には他剤よりも適しているものと考えられています。
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この方法の利点は、卵巣自体の機能低下がない限り(つまり更年期のように、もう卵巣が働かなくなってきてしまったというような場合ではない限り)、まず排卵を起こすことが可能であるということですが、注射のために通院を余儀なくされること、1周期に何度も注射をする必要があること、そして一度にたくさんの卵胞が育ってきやすいということ、が欠点でもあります。 体外受精・胚移植(IVF・ET)では一度に数個の成熟卵を採卵できる必要がありますので、むしろHMG注射で排卵誘発した方が都合が良く、このためHMG注射が好んで用いられているようです。 以上が、排卵誘発方法の主なところでしょう。 |
■関連するリンク
無排卵月経に関して→こちら
基礎体温の見方について→こちら