11.緊急避妊法について教えて下さい |
最近、緊急避妊法に関しての質問を受けることが度々ありますので、簡単にご説明いたしましょう。 さて、では緊急避妊法について説明いたしましょう。 EC(Emergency Contraception)
、ECP(EC Pill)、モーニングアフターピルなどとも呼ばれますが、現在最も効果があるとして使用されている方法は、カナダのYuzpe,
MD が考案した方法(Yuzpe法)です。YuzpeはEE(エチニルエストラジオール)0.05mgとLNG(レボノルゲストレル)0.25mgを含む経口避妊薬を性交後72時間以内に2錠、さらにその12時間後に2錠を服用することにより90%以上の避妊効果が得られる、と報告しています。薬剤としてはPC4(EE0.05mg+LNG0.5mg)、Ovran(EE0.05mg+LNG0.25mg)、Preven(EE0.05mg+LNG0.25mg)などがありますが、いずれも日本では認可されていません。プリベンはインターネットでも入手可能ですが服用はあくまで自己責任となります。 有用性については、 避妊率98%という報告から70%という報告までばらつきがあるものの、「最も妊娠しやすい時期に避妊をせずに性交した場合」の信頼できるデータは、Brinston大学のTrussell教授が報告している75%という数字かと思います。 緊急避妊におけるピルの作用機序は明らかではありませんが、主に着床を阻害することによるものであると考えられています。通常、受精は排卵直後に卵管内で起こり、その約1週間後に子宮内へ到達して子宮内膜に着床するため、受精から着床までの間にピルを服用することによって子宮内膜が受精卵を迎え入れることができない状態を作り出すものだと考えると良いでしょう。ですから、最初にお話ししたように、すでに着床して妊娠反応が出てしまっている状態から中絶することを目的としたものではないのです。 副作用としては、最も多いのが悪心・嘔吐です。この他、頻度としてはかなり少ないものとなりますが、乳房痛、めまい、頭痛、不正出血などが見られることがあるようです。悪心・嘔吐はかなり強く出る人もあるようですが、通常はそれによって効果が減ずることはなく、また24時間ほどで消失するのがほとんどであるようです。 性交後緊急避妊法は、その有用性は確かに認められており安全性についても現在のところでは問題ないと考えられています。しかし、服用する薬はピルであり、服用量も通常の数倍の量を短期間に服用することになるわけですから、ピルに対する正しい知識を持った上で、あくまで一時的な避妊だけを目的として服用することが望ましいものです。また、日本ではまだ認可された方法ではなく、したがって医師によってはこの方法を嫌ったり知らなかったりすることもあるため処方してくれない場合もあり、このことも考慮に入れておかなければなりません。 |
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