3.卵巣嚢腫ってどういう病気ですか? |
卵巣嚢腫とは
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卵巣嚢腫の種類
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●非腫瘍性病変 | |
最初に非腫瘍性病変に関してですが、これには以下のようなものが含まれます。 |
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●腫瘍性病変 | |
次に、良性の卵巣腫瘍に関してお話しします。 現在卵巣の良性腫瘍は以下のように分類されています。 |
表層上皮性・間質性腫瘍
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漿液性嚢胞腺腫 粘液性嚢胞腺腫 類内膜腺腫 明細胞腺腫 腺線維腫(上記の各型) 表在性乳頭腫 ブレンナー腫瘍 |
性索間質性腫瘍
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莢膜(きょうまく)細胞腫 線維腫 硬膜性間質性腫瘍 セルトリ・間質性細胞腫瘍 ライディク細胞腫(門細胞腫) 輪状細管を伴う性索腫瘍 |
胚細胞性腫瘍
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成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫) 成熟充実性奇形腫 卵巣甲状腺腫 |
よって、ここではこの代表的な三種類の腫瘍に絞ってお話しをすることにします。
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漿液性嚢胞腺腫
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通常は単房性であるが、時に多房性のことがある。嚢腫壁は表面平滑であるが時に内腔へ乳頭状の増殖を示す場合があり、乳頭状嚢胞腺腫と呼ばれる。乳頭状増殖を示す場合は境界悪性のもの・悪性のものとの鑑別が重要となる。内容は黄色透明の水様液で、時に血性様のこともある。卵巣嚢腫の中で最も頻度の高い腫瘍である。 単房性のものでは、その形態や内容が非腫瘍性病変と非常に良く似かよっているために、鑑別が難しい場合が多い。とはいえ非腫瘍性病変では手拳大以上の大きさになることはまれであるため、かなり大きくなったものであれば鑑別は容易となる。 |
粘液性嚢胞腺腫
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通常は多房性を示し、放置するとかなり巨大なものとなることが多い。嚢腫壁はやはり表面平滑で、内容は粘稠性の高い粘液様物質で、白色〜黄色〜褐色を示すことが多い。しばしば両側性に発生する。多房性の一部が漿液性の場合もある。 比較的まれなケースとして、自然破裂を起こすことで腹腔内に粘液が散乱し、粘液に混じって産婦された腫瘍細胞が原因となり腹腔内臓器に癒着や組織破壊を起こすことがあり、このような状態となった場合を腹膜偽粘液腫 pseudomyxoma peritonei と称する。高齢者に多く、組織的に悪性像を認めないものの非常に予後は悪い。 |
成熟嚢胞性奇形腫
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全卵巣腫瘍の18%を占め、若年層における卵巣嚢腫の中では最も多いものである。成熟期から高齢期にかけても見られるが、若年期〜成熟期ではまず癌性変化を起こすことはないのに対し、高齢期では少ないながらも癌性変化が認められる場合がある。 胎生期の内、中、外の3胚葉組織から形成される成熟組織がその構成成分であり、したがって各種臓器を模した内容が認められる。そのうち、外胚葉に由来する毛髪、皮下脂肪、皮脂、皮膚組織などを中心に、中胚葉由来である骨、軟骨、歯牙などを交えた形の腫瘍が最も多く見られ、類皮嚢胞腫または皮様嚢腫(Dermoid cyst)、デルモイドなどと呼ばれる。 約25%が両側性に発生する。 腫瘍マーカーのうち、CA19-9が高値を示すケースがしばしば認められ、診断する上で有用なものである。 無症状に経過することもまれではなく、妊娠の判明と同時に発見されたり、茎捻転を起こして初めて発見されることもかなり多く見られる。 茎捻転を起こした場合は組織壊死に陥っていることが多いため片側卵巣は全摘出するケースが多いが、そうでない場合には嚢腫部分のみを摘出する手術法(嚢腫核出術)をとることが多い。 開腹手術を行うのが一般的であるが、腹腔鏡下に核出術を行うことも可能である。(→腹腔鏡手術に関してはこちらを参照) |
画像診断
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以下に腫瘍性病変に関しての画像診断の例をあげておきます。 詳細は述べませんが、このような違いがあるんだな、程度に理解をしておいてもらうと良いと思います。 |
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