レディースホームFAQL.卵巣に関するもの編

1.卵巣が腫れていると言われましたが?

 

 「卵巣が腫れている」といわれた場合、おおまかに以下のような原因が考えられます。

 1.腫瘍(悪性、良性)の場合
 2.ホルモンの影響で腫れている場合
 3.炎症を起こしたため、膿瘍ができている場合
 4.子宮内膜症によるチョコレート嚢胞ができている場合
 5.副卵巣嚢腫の場合

 以上の鑑別に関してお話をします。

一般的には内診と超音波検査で「卵巣が腫れている」と言われることが多いと思いますが、この段階ではまだおおよその予想はついても「これ」と診断できることは少ないかもしれません。したがってこれを鑑別していかなくてはならないわけですが、この時通常「卵巣マーカー」というものを採血して調べるのが普通です。これを見ることでまず、腫瘍性のものか、悪性のものでないか、子宮内膜症によるものではないか、などを判断することができます。同時に、卵管や卵巣などで炎症を起こした経歴が疑わしい場合には、炎症反応に関しても検査をすることができます。(CRPを検査し、陽性かどうかを見ます)
 さらに、検査の結果を待つ間に(だいたい1〜2週間くらいです)、自然に経過を見ることになりますから、経過を見ているうちに縮んだり消失していたりするかどうかを判断することもできます。2.の「ホルモンの影響」で腫れていたものであれば、自然に縮んだり消失したりしますから、この段階で判断することが可能となります。
 血液検査の結果が出た段階で、おおよその診療への方向が決定できるようになりますが、必要があればさらにCTやMRIなどの画像診断法も併用します。

 以上のような検査を経ておおまかにこれから先の治療方針が決められるようになります。
 このまま経過を見ていっても良いか、投薬治療を必要とするか、もしくは手術による治療が必要か、ということですね。

 2.の「ホルモンの影響」が考えられる場合には、自然に経過を見て良いのですが、それ以外の場合には何らかの治療が必要になると思った方が良いでしょう。

 まず1.の腫瘍が疑われる場合ですが、悪性のものでも良性のものでも治療は基本的には手術摘出となります。腫瘍性のものであれば放置しても小さくなることはなくどんどんと大きくなる一方ですし、大きさが大きい場合は茎捻転を起こしてひどい痛みに苛まされる可能性もありますから手術は必至だと考えた方が良いでしょう。

 3.の「炎症によって膿瘍ができた」場合でも、治療の基本は手術摘出です。この場合は「膿み」が袋状になって貯留しているのでこれを摘出しますが、同時にたいていはその周囲に癒着があるのでこれを剥離すること、必要によっては卵管を(たいがいは卵管が巻き込まれていますから)癒着剥離したあとさらに形成術を行うことになります。さらに、膿の部分から原因菌の培養検査をしますが、炎症が落ち着いてしまっていると菌が同定できない場合も多いようです。

 4.の子宮内膜症の場合には、中味はどろっとした血液成分が主体となりますが、この液体成分の性状によって手術が必要となるか、あるいは投薬治療でも良いかがおおまかに判断が可能となります。性状がタール状であればあるほど手術を必要とするようになりますが、液状であれば投薬治療により身体に吸収されて消失してしまう可能性が高くなります。(「チョコレート嚢腫ってなんですか?」参照)

 5.の副卵巣嚢腫というのは、卵巣にできるものではなくて卵管と卵巣の間にある卵管間膜という部分にできるもので、胎生期の発生段階での名残りである卵巣上体(副卵巣)という部分にできる水ぶくれのようなものです。臨床的には卵巣嚢腫として手術を受け、術中に初めてそれと診断されることが多く、術前から診断されることは少ないものです。
 したがって副卵巣嚢腫は卵巣嚢腫と同じ扱いであると考えて良いでしょう。

 手術に関しては、開腹手術と腹腔鏡による手術とがあります。
 腹腔鏡に関しては「腹腔鏡について教えてください」に記載がありますので参考にして下さい。

 

  ■関連するリンク
   ・卵巣嚢腫の茎捻転 → 「茎捻転ってどういうものですか?」
   ・妊娠中の卵巣の腫れ → 「妊娠初期ですが、卵巣が腫れていると言われました。」
   ・排卵誘発中の卵巣の腫れ → 「OHSSって何ですか? 」
   ・チョコレート嚢腫 → チョコレート嚢腫って何ですか?
   ・腹腔鏡について → 腹腔鏡について教えてください