レディースホームFAQC.生理の異常〜痛みに関するもの

2.生理以外の日でも生理痛のような痛みがある

 

 

 こういう症状がある場合には、まず何らかの異常があるものと疑ってかかった方が良いでしょう。
 その代表的な疾患は子宮内膜症と子宮筋腫です。
 それぞれの疾患についての解説は、FAQのG.「子宮筋腫に関するもの編」H.「子宮内膜症に関するもの編」にありますので、参考にして下さい。  

 さて、子宮内膜症では内膜症がある部分(例えば卵巣など)で少量の出血が起こり、これが誘因となって軽度の炎症を起こしそれが癒着を招くこと、あるいは出血自体ないしは炎症による刺激が腹膜に及ぶことが原因となって、生理以外での痛みが起こるようになります。内膜症病変自体が深層組織に及ぶと、直接神経を刺激して痛みを起こす場合もあり、このようなケースでは子宮を摘出しないと痛みが取れないことすらあります。 痛みはたいてい下腹部、腰部に現れますが、時には骨盤部、大腿部、臀部や鼠径部などにも現れることがあります。
 子宮筋腫においても、筋腫自体が原因で起こる痛みや、筋腫ができて子宮が全体的に大きくなり子宮を支える靱帯や支持組織が牽引されるために起こる痛みが、やはり下腹部や腰に現れることが多いようです。
 また、筋腫核が大きく育ってくるとそこへ十分に栄養を送る必要性が出てくるため、子宮への血流が豊富になります。この結果として子宮の周囲にある静脈の怒張を招き、これが元となって血管性の疼痛が発生して来ることもしばしばあります。このケースでは血流を改善する薬を服用すると痛みが治まることもありますが、根本的な治療ではないために痛みが再発することも多く、最終的には子宮全摘が必要となる場合が多いようです。

 また、下腹部や腰の痛みに加えて発熱がある場合には、骨盤内感染症も疑わしくなります。
 疾患についての解説はこちらを参照して下さい。
 なお、最近骨盤内感染の原因菌として注目されているのはクラミジア感染症です。
 クラミジアについては性行為感染症にも記載してありますのでこちらも参考にしてもらうと良いと思いますが、この病気はとにかく症状が出にくいためにかなりの勢いで蔓延しつつあり、自分が知らない間にいつの間にか感染している可能性もありますから、十分注意をして欲しい感染症だと思います。

 

 

 

*排卵痛について  

 ところで、排卵の時期に限って痛みがあるという場合はどうでしょう?
 一般的に排卵痛と呼ばれているものですが、これは果たして病的なものなのか?というと、必ずしもそうとは限りません。
 排卵という現象は、成熟し受精能力を備えた卵が、卵胞が破裂して卵巣の表面を破ることで、卵巣外に放出される現象を言います。排卵痛はこの卵巣の表面を破って卵が出てくるために起こる痛みである場合もあります。
 もしくは、排卵期に一時的に減少するエストロゲンによって引き起こされる痛みであるかもしれません。
 このような痛みであれば、これは自然現象であるとしか言いようがなく、対処法としては鎮痛剤を服用するくらいしかないのが現状でしょう(漢方薬の服用で改善する場合もありますが)。どうしても痛みがひどく鎮痛剤でもどうしようもないという場合、診察で全く異常がないといわれているのならば、避難手段として低用量ピルを用いるという方法もあります。妊娠を望んでいる状態ではピルを服用すると排卵が停止しますので不適な方法ですが、今すぐ妊娠を望んでいないのであれば考慮すべき方法であるといえるでしょう。

 しかしながら当然病的な場合も考えられ、可能性としては子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫や卵巣ガンなどの卵巣の疾患、骨盤内での炎症性疾患など、様々なものが考えられます。

 診察をしてもらわなければ病的なものなのかどうかはわかりませんから、一度診察を受けておくようにするのが望ましいことはいうまでもありません。
 

 

  ■関連リンク
     ・排卵期出血についての記載はこちら
     ・生理痛についてはこちら
     ・性交痛についてはこちら