レディースホームFAQG.子宮筋腫に関するもの編

1.筋腫が妊娠に与える影響は?筋腫を持ったまま妊娠できるのか?

 

 筋腫が妊娠に与える影響は、筋腫が子宮のどの位置にできるかによってまったく異なってきます。子宮の外側に向かって発育する筋腫(漿膜下筋腫)では、妊娠には全くと言って良いほど影響はありません。
 それに対して、子宮筋層内で発育する(筋層内筋腫)か、もしくは子宮内腔に向かって発育する(粘膜下筋腫)ものでは、妊娠している部分に対して直接的に外力を加える形で影響を与えますので、妊娠初期では流産、妊娠中期から後期にかけては早産の危険があることになります。(筋腫の種類の詳細はこちらを参照)

 

 

 ところで、筋腫というのはエストロゲン(卵胞ホルモン)に依存して発育すると言われていますが、妊娠が成立すると、妊娠初期では卵巣から、妊娠中・後期では胎盤から大量のエストロゲンが放出されるようになりますので、妊娠中は常に筋腫が大きく育っていく可能性があることになります。実際妊娠すると大抵は筋腫は大きくなるものです。

 ということは、妊娠前には大した大きさではなかった筋腫核(筋腫のコブ)が妊娠したために腫大して妊娠部分を圧迫し、流産に至らしめるという可能性も秘めているわけです。
  
 以上が、筋腫が妊娠に対して与える影響ですが、では筋腫を持っていながら妊娠することは可能なのでしょうか。   

 これも、特に問題になるのはやはり最も妊娠に影響を与えやすい子宮内腔に向かって突出するタイプの筋腫(粘膜下筋腫)でしょう。
 子宮内腔に向かって突出するために、このタイプは着床の障害となりやすく、したがって不妊症の原因にもなりうるものでもあります。また同時にこのタイプは経血量の増量を来たしやすく、貧血の悪化という形でも現れますので、できれば妊娠前に筋腫核を摘除する手術を受けるのが望ましいと思います。
 ただしこの手術により筋腫核を摘出した場合、子宮内腔に穴を開けてしまうことが原因で子宮内腔が癒着を起こし、それが今度は不妊症の原因になりうる危険性をはらんでいることを知っておくべきでしょう。   

 粘膜下筋腫以外のものについては、内腔へ突出傾向のある筋層内筋腫を除けば、あまり妊娠に対しての影響は考えなくても良いとは思いますが、これから妊娠を望んでいる方の場合で筋腫核の大きさが少なくとも5〜6cm以上というのであれば、妊娠後に筋腫核が大きくなる可能性があることを踏まえるとやはり手術して摘除しておくべきではないかと思います。
 いくら例えば漿膜下筋腫では妊娠への影響が少ないと思われるとはいえ、筋腫のような「邪魔者」があれば他の臓器へ何らかの影響が出る可能性があると思っていた方が良いでしょうし、それに妊娠している間中ずっと、筋腫があることによる心配をしなければならないこと自体、精神的にも良くないことでしょう。
 少しでもお腹が痛くなれば筋腫のせいではないか?、流産してしまうのではないか?、と心配することが、赤ちゃんに良い影響があるとは思えませんので・・・  

 最後に、筋腫核を摘出してから妊娠を考える場合には、帝王切開が望ましいことを付記しておきます。
 その理由は、筋腫核を摘出した部分の子宮壁が弱くなるために、陣痛が発来してくるとこの部分で子宮破裂が起こる可能性があるためです。子宮破裂を起こした場合赤ちゃんは90%助かりませんし、母胎の死亡率もかなり高いものだからです。
 子宮壁をまったく損傷しない形で筋腫核を摘除した場合にはこの限りではありませんが、それでも危険はまったくゼロではないのだということを頭に置いておいた方が良いでしょう。

 

  ■関連するリンク
     ・筋腫は手術しなくちゃいけないのか?
     ・筋腫は薬で治らないものか?
     ・お腹を切らなくても筋腫を取ることができるのか?