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7.人工妊娠中絶に関して教えて欲しいのですが?

 

 人工妊娠中絶は、母体保護法(1996年以前は優生保護法)に基づいて、都道府県の指定する医師が行うものと規定されています。「妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」、「暴行もしくは脅迫によって抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」 について中絶を行うことができると定められています。
 しかし人工妊娠中絶に関しては健康保険では認められていないため保険は通常利きません。流産については一つの疾患としてみなされるため同じ掻爬手術を行ったとしても保険が利きます。現在人工妊娠中絶にかかる費用はおおよそですが10万円〜15万円ほどではないかと思います。
 中絶が可能な時期については、「胎児が母体外において生命を維持することのできない時期」に限るとされており、現在ではその時期を妊娠22週未満と規定されています。

 さて、妊娠中絶の方法ですが、これには大きく分けて2通りの方法があります。
 一つは器具を用いて子宮内を掻爬する方法で、妊娠初期にはこの方法で行うのが一般的です。ラミナリア桿、ラミセルなどの水分を含んで膨化する器具を子宮口に挿入し、子宮頸管が拡張したところで子宮内掻爬を行います。
 もう一つは同じように頸管を拡張したあとに子宮収縮剤を用いて人工的に陣痛を起こして娩出させる方法です。主に妊娠中期の中絶に用いられる方法で、一般的には妊娠12週以降の中絶に対して行われるものです。この場合、胎児娩出から数日後に子宮内に残った胎盤の一部を出すために掻爬術を行うのが普通です。
 中絶後については、出血は掻爬後およそ1週間ほど持続するのは異常ではありませんが、出血の量がかなり多い、いつまで経っても出血が止まりそうもないという場合は必ず病院を受診して下さい。通常は掻爬後10日以内には出血はおさまるものですから、それ以上続かないかどうかを目安とすると良いでしょう。
 生理は中絶後およそ1ヶ月で再開するのが普通ですが、妊娠前に順調に来ていたかどうかによっても異なってきます。妊娠前に生理が不順であった人は生理が再開するまでに1ヶ月以上を要する場合もあります。なかなか生理が来ない場合には、アッシャーマン症候群 Asherman' syndrome の可能性もありますので、一度受診しておくことをお勧めします。中絶後の身体に変調がないかどうかを知るためには、基礎体温を測定しておくことが最も好ましいことでしょう。
 中絶後、一度生理が来るまでの間は身体を無理しないように注意をして下さい。この時期に無理をすることで子宮内感染を招き、子宮内膜炎から場合によっては子宮を摘出しなければならなくなったり、炎症が落ち着いてもその後にアッシャーマン症候群を招いたりする可能性があります。
 中絶後は一週間後に診察を受け、異常がないかどうか診てもらうのが普通ですが、その後は入浴が許可されたとしても、生理が再開するまではスポーツや旅行、性行為などは控えるべきでしょう。始終動き回っていたりストレスの強い仕事に関しても要注意でしょう。とにかく「無理をしない」ことが大事なことです。
 なお、中絶後に妊娠を希望する場合にはどのくらいの期間をあけたらよいか?、ですが・・・
 一般的には中絶してから3ヶ月以上、もしくは中絶後に3回きちんとした生理があってから、と考えられています。それだけ妊娠に対しては体を休める必要があるということ、そして妊娠に対して身体の準備ができていることを見極める必要があるということ、と理解しておきましょう。

 

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