レディースホームFAQJ.その他の気になる疾患について

7.妊娠中絶後に生理が来なくなったのですが病気でしょうか?

 

 人工妊娠中絶後生理が来ないという場合、
  1)もともと生理不順であった
  2)もともと生理は順調に来ていた
 のいずれだったかによって多少対応が違います。

  1)もともと生理不順であった、という場合は、排卵までに日数がかかる可能性がもともとあるため、妊娠中絶というストレスのせいで普段以上に生理が遅れる可能性はあることになります。「一度生理が来るまでは無理をしないように気を付けること」という注意をされているでしょうし、それを守って身体に無理を強いらない生活をしているのであれば、今まで生理が遅れたことのある範囲内(期間内)で経過を見ていても良いのではないかと思います。ただし、できれば基礎体温を測っておいた方が良いと思います。
 なお、後述のようにアッシャーマン症候群(Asherman's syndrome)の可能性もありますから、あまり長期間生理が来ていないのであれば一度診察を受けておくべきでしょう。

 2)もともと生理は順調に来ていた、のであれば、およそ1ヶ月前後に生理は再開するはずです。
 今までの生理周期を考えると明らかに生理が来るのが遅れているという場合は、術後に排卵が遅れている・排卵がきちんと起こっていないなど、排卵に関するトラブルがまず考えられます。排卵に関するFAQは下の関連するリンクにありますのでそちらを参考にしてもらうと良いですが、「排卵があるかないか」をまず確認するために、基礎体温を測ってみることをお勧めします。
 もし排卵がきちんとあると思われる場合(=高温期がちゃんと2週間前後ある、低温期と高温期にちゃんと分かれている、など)、それで生理が来ないのならアッシャーマン症候群の可能性が疑われますので、必ず病院を受診して下さい。

アッシャーマン症候群について


 アッシャーマン症候群 Asherman's syndrome とは、人工妊娠中絶や産後の子宮内操作などに続発する、無月経、月経過多や月経困難症、不妊あるいは習慣性流産などを主徴とする子宮腔内癒着症のことです。下垂体・間脳系や卵巣機能は正常であることがほとんどであるため、排卵は持続しそのため基礎体温ではきちんと二相性を示します。
 子宮腔内の癒着は、全面にわたる場合も一部分に限局する場合もあり、癒着の範囲により現れる症状が異なってきます。診断には子宮卵管造影が有用で、辺縁不整、不規則な陰影欠損として確認することができ、これが造影剤の注入量を変えても、また反復撮影によっても陰影欠損像に変化が見られないことが特徴となります。(右写真)
 治療は子宮頸管を拡張する器具(Hegar拡張器)などで鈍的に癒着を剥離するか、子宮を切開して直接剥離手術を行い、再癒着防止のためリングなどを挿置した上で抗生物質を服用(感染防止のため)します。

 

 

■関連するリンク
  人工妊娠中絶に関して教えて欲しいのですが?
  中絶すると不妊症になりやすいのですか?

 *排卵関連
  E.基礎体温と排卵に関するもの編