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6.子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープについて教えて下さい

 

 子宮内腔から膣内へ出ていくまでの間は細い管状部分となっており、この部分を子宮頸管と言います。子宮頸管内は腺細胞によって覆われており、所々にくぼみがあって頸管腺という腺を形成しています。この頸管腺から産生される粘液(頸管粘液)は、排卵期に精子が通過しやすくなるように働きますが、それ以外の時期には逆に子宮腔内への精子の侵入を阻むための第一関門として機能しています。
 さて、この頸管部分の腺組織は他の組織に比べて過形成(要するに、腺組織の作りすぎです)を起こしやすく、頸管内へ向かってキノコ状の突起となりやすいものです。このようにして頸管内へ飛び出してきた突起状の過形成部分を、頸管ポリープと言います。
 頸管ポリープが膣内へ向かって突出してくるようになると、膣内の菌に触れて炎症を起こしたり膣内への侵入物に触れたり(つまり性行為ですね)することによって容易に出血を起こすようになります。つまり、不正出血を起こす原因になり得る、ということになります。
 大腸にできるようなポリープとは違い、癌化することはほぼ100%近くないものなので放置してもかまわないのですが、自然治癒することはほとんどないこと、大抵は先のような理由により不正出血を起こすことが多いことから、摘出するようになることが多いようです。
 頸管ポリープの摘出はほとんど痛みもなく外来で簡単に摘出できるものですが、かなり大きいものの場合には入院が必要となることもあります。

 

           

 一方、子宮内腔にもポリープが形成されることもあります。
 子宮内膜ポリープと言いますが、こちらの場合は子宮内膜の過剰増殖により形成されるもので、子宮頸管ポリープとの一番の相違点は子宮内膜ポリープでは背景にホルモンの影響がある場合が多いということでしょう。この場合のホルモンというのはエストロゲン(卵胞ホルモン)で、エストロゲンに対する子宮内膜自体の感受性が高いか、あるいはエストロゲン過剰にある状態のために子宮内膜の過剰増殖が起こり、その結果として子宮内膜ポリープが形成されるようになります。
 同様の病態として子宮内膜増殖症というものがありますので、こちらも参照してみて下さい。
 子宮内膜ポリープでも不正出血を起こすことはありますが、子宮頸管ポリープに比べるとその頻度は大変に少ないもので、むしろ子宮内膜ポリープの場合には月経過多として症状に現れることの方が多いようです。もちろん、無症状の場合も多々あります。
 子宮内膜ポリープが見つかった場合、最も心配されるのは子宮体癌の存在でしょう。
 細胞の分化の非常によい子宮体癌では、内膜ポリープ様に発育する場合も多く見られるため、これとの鑑別が必要になってくるわけです。
 内膜ポリープの摘出には子宮鏡が最も適しており、この方法でなら外来で行うことも可能です。
 無麻酔あるいは軽い麻酔下で操作が可能ですから、出血が多くならない限りは入院まで必要はないことが利点といえるでしょう。
 また、静脈麻酔下で内膜掻爬という形で摘出することも可能です。こちらも入院せずに治療を行うことが可能です。

 以上が子宮頸管ポリープと子宮内膜ポリープに関しての詳細です。