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3.ヘルペスについて |
外陰ヘルペスというのは、単純ヘルペスウイルス(主に2型)により起こる疾患で、症状は外陰部に形成される口内炎に似た病変(潰瘍といい、ほとんど多発性に出現します)と、それに伴う外陰部の疼痛(激痛)です。 診断法には病変より直接に病原ウイルスを検出する方法(病原診断)と、血液検査によって血中にヘルペスに対する抗体が形成されていることを確認するもの(血清診断)とがあります。前者は検査が容易ではない、コストがかかる、病変がはっきりしない場合は精度が落ちるなどの問題がありますが検査の信頼度は高いものであるのに対し、後者は検査が容易なのに比して検査の信頼度はあまり高くない、感染初期には診断には向かない、などの性質があります。一般的には後者が主に行われているものと思いますが、この検査では再発か初感染かを判別することが難しく、また初感染の場合には、発症してから10日以上経てばほぼ100%抗体形成が起こるため診断に有用であると言えるものですが、急性期(発症して間もない時期)には抗体がまだ形成されていないため、この時期に検査をしても「抗体陰性」という結果、すなわち「ヘルペス感染ではない」という結果を招く可能性もあり、確実な診断法とは言い切れないものです。 鑑別についてですが、ヘルペスと似たような病変を形成するものとしては、細菌性の外陰潰瘍、ベーチェット病があります。 治療にはアシクロビル(商:ゾビラックス)という薬剤を用いて治療します。 |
左の写真はヘルペスによる外陰炎病変を示したものです。円形の、表皮が剥脱したような、口内炎に良く似た病変が多発しているのがわかります。とにかく「痛い」というのが主症状です。 |
しかし、ヘルペスがやっかいな病気であるのはこのあとです。 妊娠中にヘルペス感染した場合ですが、母体内にいる間に胎児に感染する(=胎盤を介して感染する)ことはまれで、だいたいは出産時に産道で感染するものです。この場合胎児は新生児ヘルペスの形で発症し、通常産後1週間以内に症状が現れます。全身型、中枢神経型、皮膚型の病型がありまずが、全身型はほとんどすべて死亡、中枢神経型は重大な障害を残すことが多く、この2型で全体の80%を占めていることから、妊娠中にヘルペス感染が見つかった場合は帝王切開にて分娩するのが普通です。 |
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