レディースホームFAQF.STD(性行為感染症)に関するもの編

2.トリコモナスについて

 

 

 トリコモナスというのは、ゾウリムシやミドリムシなどと同じ原虫の仲間です。
 このトリコモナスによる感染は主として膣内に起こりますが、外陰部やその周辺、子宮腔内などにも感染し炎症を起こすこともあり、総じて膣トリコモナス症と呼ばれます。
 トリコモナスの感染は、主に性行為によるものですが、ほかにも浴槽や公衆浴場、温泉などで感染するケースもまれではなく、また手指、タオルなどが感染源になることもまれながらあり、時には感染経路がまったく不明という場合もしばしばあるようです。  

 症状としては、黄色く水っぽいおりものとして自覚するようになり、膣の中に灼熱感を伴うようなかゆみを感じ、またしばしばおりものが悪臭を伴うものとして自覚されます。また尿路に感染が及ぶ場合もあり、この時には頻尿や排尿痛を自覚することがあります。  

 治療としては、「トリコモナス症」として対応することが重要となりますから、メトロニダゾール(フラジールなど)あるいはチニダゾール(ハイシジン)を内服しながら同薬剤の膣錠を併用するのが一般的です。
また、性行為により容易に感染することから、夫婦間などであっちへ行きこっちへ行きという連続感染を起こすことがあるため(ピンポン感染といいます)、同時にパートナーにも内服をしてもらって一緒に治療することが大切です。
 これを怠ったり、また自己判断で治療を中止したりすると、何度でも繰り返してトリコモナス感染を起こす結果となってしまいますので、注意しましょう。
 きちんと治療をすれば、通常は2週間以内に軽快するのが普通です。
 なお、投薬治療中は、アルコールの分解が阻害されることで悪酔い・時にアルコール中毒症状を引き起こすことがあるため、飲酒は禁忌ですので注意してください。

 なお、妊娠中の感染についてですが、妊娠初期では内服投与によって胎児へ移行して胎児奇形を起こす可能性があるため治療には膣錠のみにて対処するのが普通です。トリコモナス自身が胎児へ感染して奇形を起こす心配はありません。妊娠中期から末期にかけては、膣炎が影響して早期に破水を起こして早産に至る場合があるので要注意です。

 

 
 


   ■関連するリンク
       かゆみがあっておりものが多い
       かゆみはないがおりものが多い
       かゆみがあるがおりものは少ない