レディースホームFAQF.STD(性行為感染症)に関するもの編

1.カンジダについて

 

 

 カンジダというのは、真菌という、カビの一種に属する菌です。
 カンジダを含めて、真菌というもの自体身体のあちこちに常在するもので、膣の中でいえば正常人の約10%には検出されるものであると言われています。
 このカンジダが何らかの原因によって異常に増殖し、おりものがおかしいと自覚され、また外陰部にかゆみを自覚するようになって初めて、カンジダ膣外陰炎という疾患名がつきます。  

 カンジダが異常増殖する原因として最も多いケースは、「身体の抵抗力を落とした」という場合でしょう。
 風邪を引いた、疲れがたまっていた、寝不足が続いた、ストレスが多い、などが主な原因と考えられる場合です。このような背景がある時に、「酒かす状」「チーズのような」「黄緑色っぽい」「固まった牛乳のような」おりものが増えてきて、外陰部に「いたがゆい」「ピリピリするような」「しみるような」かゆみが起こって来るようになります。   

 次いで良くあるケースでは、抗生物質を服用した後でしょう。
 膀胱炎、風邪、歯の治療後などでは抗生物質を処方されることが多く、また怪我をした後などにも「化膿止め」と言って処方されることがありますが、こういうケースで抗生物質を服用した後に、上記のような症状が出現して来ます。  

 このほか、生理の前にかゆみが出て、生理が終わると治っているみたい・・、という症状として自覚される場合もあります。これはカンジダが酸性を好んで繁殖することに関係があり、生理前というのはプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で膣内が酸性に傾きやすいという理由から起こるものと考えられます。この場合は生理の終了とともに軽快してしまいますので特に治療は必要ないわけですが、毎生理ごとに同じ症状を繰り返すようでしたら、対応策としてまず第一に身体の抵抗力を落とさないように注意することです。ほかには、食事の栄養のバランスに注意する、この時期だけビデ洗浄をする、通気性の良い下着にするなどが対応策としてあげられますが、それでもダメという場合は産婦人科で先生に相談をして下さい。
 また、同じ理由により、常にプロゲステロンが大量に分泌されている状態である妊娠中にも、あるいは擬似的に妊娠と同じ状態を作り出しているピル内服中にもカンジダは出現しやすいといえます。妊娠中に関しては一時的なことなので、その時に治療をすれば良いことですが、ピル内服のため頻回にカンジダを繰り返す場合にはまずは先述のような注意をすることが大事なことですがそれでもダメな場合にはピル内服を中止するようにするしかないでしょう。
 なお、糖尿病でもやはり膣内が酸性に偏りやすく、カンジダを起こしやすくなりますので、頻回に繰り返すケースでは念のため糖尿病の可能性はないかどうかを診てもらっておくと良いと思います。   

 ほかに、膠原病や花粉症、喘息などでステロイドホルモンを使用している場合にもカンジダが起こりやすいといえます。ステロイドホルモンには免疫機能を抑制する作用があるため、ステロイドを使って治療をしている時にはカンジダが起こりやすいので注意が必要でしょう。  

 カンジダでかゆみが起こる場合、多くの場合膣・外陰ともにカンジダによる炎症を起こしていると考えた方が良く、このため治療は抗真菌剤の膣剤と軟膏塗布を併用するか、あるいは軟膏塗布と膣洗浄を行うのが普通です。外陰部だけにカンジダが炎症を起こす場合もあり、この時には軟膏だけでも治癒することが可能ですが、大抵は膣炎を伴っていることが多いので膣炎の治療も並行する場合が多いでしょう。
 なお、膣洗浄はカンジダ膣炎に対する治療法として有効なもので、通院して膣洗浄を行うだけでも完治する場合もありますが、通常1週間ないしは10日間ほど洗浄に通院すれば大抵膣炎は完治するものと思います。少なくとも2週間膣洗浄に通っても治らない場合には、カンジダ以外の病気を疑った方が良いかもしれません。

 性行為で感染をしますが、男性から女性へ感染することは少ないものです。
 浴槽、タオル、食器の共用などではまず感染はしません。   

 薬局で購入可能なフェミニーナ軟膏というものがありますが、これはカンジダに対しては効果はありません。
 「自分で治す」のも悪いことではありませんが、最低3日くらいこの薬を塗ってみても治らないのでしたら、 カンジダを疑ってきちんと診察を受けた上で治療をしてもらった方が良いと思います。

  主な「抗真菌剤」を以下に掲載しておきます。
<(ク)はクリーム、(軟)は軟膏、(ロ)はローション>
軟膏
アイコザール(ク)、アスタット(ク、軟、液)、アセント(ク)、アデスタン(ク)、アトラント(ク、軟、液)、アムリードD(軟)、エクセルダーム(ク、ロ)、エコナベール(ク、液)、エルシド(ク)、エンシェント(ク、軟、液)、エンペシド(ク、液)、オキナゾール(ク、液)、クリエ(ク)、クロストリン(ク)、クロトリマゾール1%(ク、軟、液)、ジニン(ク、液)、タオン(ク、液、ゲル)、ダルテスチン(ク)、デリマイン(ク)、ニゾラール(ク)、ニトコナゾン(ク)、バトラフェン(ク、液)、パラベール(ク、液)、ビクロノール(ク、液)、ビスコポール(ク、液)、ビフォノール(ク、液)、ビホナゾール(ク、液)、ピルツシン(ク、ゲル)、ビルミチン(ク)、フロリードD(軟、液)、ペキロン(ク)、ホスポール(ク)、ボレー(ク、液)、マイコスポール(ク、液)、マイコゾール(ク)、マリンゾール(ク、液)、メンタックス(ク、液)、モルダイン(ク、液)、レンチェンス(ク、液)
膣坐薬
アデスタンG(100mg、300mg)、エルシド、エンペシド、オキナゾールV(100mg、600mg)、サラシルト、パウゾール、パラベール、バリナスチンV(100mg、300mg)、フロリード

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