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多くは、細菌感染により起こるものです。
その形態、感染場所によって多少疾患名が違いますが、病態はだいたい同じと考えて良いでしょう。
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毛嚢炎***
外陰部の毛穴から感染して毛根周辺を中心に炎症を起こすものを、毛嚢炎と言います。毛穴を中心に赤く小さく腫れ上がり、尖端部には膿みが小さな白い点として見えることがあります。大きさは2〜3mm程度のものです。自然に破れて排膿することで(自潰といいます)自然治癒してしまう場合も往々にして見られます。
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外陰フルンケル***
上記の毛膿炎が数個融合したりして大きくなる場合もあり、これは外陰部フルンケルと言います。単純な毛嚢炎に比較すると、発赤も強く硬結を自覚でき、また痛みも強くなります。毛嚢炎と同じく、自潰して自然治癒する場合もあります。
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アテローマ***
上記のフルンケルと外見上も症状もはとんど変わらないもので、唯一違う点は皮下に病変があって皮膚表面とはつながりを持っていないということです。
皮脂や細胞、コレステロールの混じた嚢胞状の腫瘤ですが、これに感染を起こすと膿が貯留し激痛を覚えるようになりますが、これもやはり自潰して自然治癒するケースも見られます。
感染を起こしていない場合には、「脂肪のかたまり」のような腫瘤として触れることが多いため「脂肪腫」と診断されることが多いようです。
以上の疾患は、外陰部のいずれにもできるものですが、概して大陰唇部分(一番外側の膨らんでいる部分)にできることが多く見られます。
これに対して、膣の入り口の左右どちらか近辺に腫瘤を触れることがあり、これが痛みを覚えることがあります。
この場合にはバルトリン腺膿瘍が考えられます。
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バルトリン腺膿瘍***
膣の入り口の左右どちらか近辺に腫瘤を触れる場合には、バルトリン腺という腺が腫れている場合が考えられます。
バルトリン腺というのは性交時に性器を潤滑にする粘液を放出するといわれる腺で、いわゆる「濡れる」のはこの腺からの分泌物によるものと考えられています。この腺は膣の出口近くに開口部を持ちますが、何らかの原因により開口部が閉鎖するとバルトリン腺自体に粘液が貯留して嚢胞を形成するよになります。これをバルトリン嚢胞と言います。ここに感染を起こすと嚢胞の内容は膿性となり、「膿みがたまって腫れた状態」となってかなり痛みが強くなります。炎症が起こると痛むだけではなく、発赤し、また全体に硬くなった感じがするようになります。
嚢胞の状態であれば放置しても良いのですが、膿瘍となった場合には切開排膿が必要になります。が、これも自潰して膿が出ることで自然に軽快することもあります。
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外陰ヘルペス***
外陰部に、水泡(みずぶくれ)ができたり、口内炎のようなものができたりして痛みを伴う場合には、外陰ヘルペスが疑われます。
ヘルペスについては、こちらの記載をご覧下さい。
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以上、外陰部の感染による「できもの」についてを列挙しましたが、いずれにしても原因は細菌感染による炎症でありますので、治療としては抗生物質投与(内服、点滴静注または軟膏塗布)が基本となり、これに消炎鎮痛剤を併用する形となります。
早ければ数日で、遅くとも1週間ほどで治癒するのが普通でしょう。
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