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2.びらんってどういうもの? |
まず、子宮の出口にある「びらん」は病気ではありませんので、最初にそれをきちんと認識しましょう。
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左の写真は膣の中の一番奥、子宮口の部分です。 中央の凹み部分、生理の出血の出てくる穴の周囲にオレンジ色に見えている部分がびらんの部分です。 周囲の扁平上皮と違い、上皮が一層の腺細胞 で覆われているため下の皮下組織内の血管が透過して見えるため、このように見えます。 |
上のイラストで、青い→部分の方から見たものが左の写真になります。下のイラストは写真を解説したものになります。 |
ところが一般的にびらんというのは、例えばやけどで皮膚がめくれてしまったような状態や、酒の飲み過ぎや精神的なストレスのために胃の粘膜が欠損してしまったような状態のことを指すものです。つまり、皮膚や粘膜を含めて上皮が欠損した状態をびらんと呼ぶのですが、子宮の出口のびらんについては前述のように、上皮が欠損している訳ではなくて、「そう見える」という理由でそのように呼ばれているものなのです。 さて、以上のことから子宮膣部の「びらん」は病気ではないということがご理解いただけたでしょうか? では、いったいなぜびらんびらんと騒ぐのでしょうか? 子宮癌(子宮頚癌)というのはこのSCジャンクションにある予備細胞(reserve cell)という細胞から発生することがわかっているのですが、予備細胞から子宮頸癌が発生したとしても、前癌状態あるいはごく初期の浸潤癌の状態というのは非常にびらんに酷似した病変であるため、肉眼的にはまったくこの「びらん」とは区別が付かないのです。 しかし、びらんがあるが故に不快な症状が起こることがあるのもまた事実です。 で、治療ですが、レーザー、炭酸ガス、液体窒素、高周波電気など、いろいろ種類はありますが、要はびらんの部分、すなわち腺組織の部分の細胞を壊死させてしまうことにあります。すると、この部分は治癒していく段階で今度は扁平上皮によって覆われるようになり、その結果びらんが縮小したような形になって治癒することになります。 とはいえ、びらんは決しておりものを増やして不快な症状を起こすばかりのものではなく、もちろんちゃんとした存在理由があるものですよ。
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