レディースホームFAQI.妊娠中の異常について

3.妊娠中の気になる症状について教えて下さい

 

便秘、痔   胸焼け   動悸・息切れ   めまい・立ちくらみ
手足のしびれ  背中や腰・お尻・下肢の痛み  足のけいれん
むくみ    おりもの  静脈瘤    などについて

 

○便秘と痔
  妊娠中は便秘に偏る傾向があると言われていますが、必ずしもそうではありません。人によっては下痢に傾いたり便秘と下痢を繰り返したりすることもあります。便秘が問題になるのは妊娠中によく見られる痔を悪化させたり、その原因となったりするからです。
 痔のうちでも妊娠中に一番起こりやすくまた問題となるのは痔核(いわゆるいぼ痔)で、これは肛門近くの静脈叢に血流がうっ滞するために起こるものです。妊娠子宮による血管の圧迫、便秘による肛門周囲の圧迫などが原因となって悪化するものと考えて良く、これを予防するためには軽い運動をして血流を良くすること、便秘をしないように注意すること、入浴することなどが効果 的でしょう。
 便秘の対策としては、第一には食事の注意です。
 繊維質の多い食事(芋、ごぼう、セロリ、緑色野菜など)を取ること、規則的に食事をとることを心がけましょう。
 第二には規則正しい排便の習慣を付けることです。食事をすると腸の動きが活発になりますから食事の後に排便する習慣をつけるようにすると良いでしょう。
 第三は寝起きに水分を取ることです。妊娠中は水分を取りすぎてもいけませんが、適度の水分摂取は便秘の予防に効果があり、また冷たいものを摂取することで腸の動きを活発にしますから効果 的です。
 以上のような注意をしても便秘がひどい場合には下剤を処方してもらいましょう。

 

○胸焼け
  妊娠により胃の動きが鈍くなること、大きくなった子宮により胃が押し上げられることなどが原因となり胸焼けや胃もたれが起こりやすくなります。特に妊娠末期には、胃の噴門部(食道から胃につながる部分)の逆流防止機構が、子宮の膨化による横隔膜挙上に伴ってゆるんでしまうことが原因となり、酸度の強い胃内容物が食道に向かって逆流するために起こる逆流性食道炎を引き起こすことがあります。
 1回の食事の量を少な目にすること、胃酸を多くさせる食事(味の濃い食事、辛いもの、極端に熱いものや冷たいもの、固いものなど)を控えること、規則正しい生活を心がけることなどの他、ストレスを避けるようにすることも大事です。酒やタバコも胃酸には大敵です。
 それでも胸焼けがひどいならば、胃薬やアルミニウム製剤などを処方してもらうと良いでしょう。

 

○動悸・息切れ
  妊娠によるホルモンの変化、横隔膜の挙上などにより、1回の呼吸は浅くなり呼吸回数が増えるようになります。また、腹式呼吸が難しくなり胸式呼吸が中心となることもあって、息切れを起こしやすくなります。
 心臓も横隔膜の挙上に伴って少し倒れた形になり、さらに血液量が非妊娠時の1.5倍近く増加することも原因となって妊婦はかなりの率で動悸を覚えるようになります。これに鉄不足による貧血が加わるとさらに顕著になります。
 いずれもそれだけ身体に負担になっているという証拠には違いありませんが、通 常の生活を送る上ではまず障害になることはありませんから心配することはありません。ただ、吐き気や身体のだるさ、胸痛などを伴ったり、日常生活を送るのに差し支えが出たりというようであれば、心電図や胸部レントゲンなどの精密検査が必要になる場合もあるでしょう。

 

○めまい・立ちくらみ
  一般的に妊娠すると血圧はやや下がり気味になります。
 ホルモンの変化、自律神経のバランスの変化によるものですが、これが原因となってめまいや立ちくらみを起こしやすくなります。特に妊娠初期に顕著に現れやすく、また同時に頭痛を訴えることも珍しいことではありません。妊娠中期には一時的に軽快しますが、妊娠後期になると胎児への鉄分供給が増加するのに伴って貧血が起こりやすくなるためにめまいや立ちくらみが起こってくることもあります。
 妊娠初期は別として、中・後期には鉄分の多い食事を心がけて貧血を防ぐように注意しましょう。
 レバー、ほうれんそう、肉類、丸干しいわし、あさり、かき、ごまなどに鉄分が多く含まれています。

 

○手足のしびれ
  胎児へのビタミン供給によるビタミン不足、むくみあるいはそれによる神経の圧迫などが原因となり、手足にしびれを感じることがあります。ビタミン剤を内服することでも効果がある場合はありますが、それよりもバランスの取れた食事をするように心がけることが大切でしょう。
 むくみに伴ってしびれが起こっている場合(朝起きたら握れないくらいに手がはれぼったくて、手がしびれる、など)には、塩分と水分の取りすぎが原因となっている場合が多いようですから、その辺を注意しましょう。運動不足でも水分が貯留しやすくなりますので、適度な運動を心がけることも大切です。

 

○ 背中や腰、お尻、下肢の痛み
   背中から腰にかけての痛みは、妊娠中・後期によく見られる症状の一つです。
 腹部に集中して重量の増加が起こるため、それを支えようとして背骨は後方へ反るような形になり、それに伴って背中の筋肉は常に緊張を強いられるようになります。また、出産への準備のために関節がゆるくなってくるので時々ギクッとするような痛み方を感じる時もあります。 これが背中から腰にかけて痛む主な原因です。
 このような痛みに関しては、腰痛体操(腰を曲げたり延ばしたりする運動。ヨガの猫のポーズやライオンのポーズも有効。)をするか、あるいは腰骨中心に腹帯を少しきつく巻くなどの方法が有効です。
 また、お尻や大腿後面にも痛みを感じることがあります。
 これは骨盤の中で大きくなった子宮や胎児の児頭が、骨盤内壁を下降する神経、特に坐骨神経を圧迫するために起こるものと考えられています。ですから骨盤から子宮を離すようなポーズ(うつ伏せてお尻だけ持ち上げる形。逆子をなおすためのポーズ)などが有効です。
 しかし根本的な解決には出産を待たなければなりませんし、それまでの間は悪化と軽快を繰り返すことが多いようですから、その間は我慢できないほど痛むのであれば湿布や外用薬を使用してもかまわないでしょう。医師に相談の上処方してもらいましょう。

 

○足のけいれん
  朝、目が覚めた時に、のびをすると足(ふくらはぎ)がつるというのも比較的よく見られるものです。
 ビタミンB1やカルシウムの不足、疲れ、運動不足などが原因として考えられていますが、よくわかっていません。
 カルシウム剤、ビタミン剤の内服を勧めたり適当な運動を勧めたりしますが、いつの間にか起こらなくなるようです。1ヶ月以上続くことはまずないように思います。
 けいれんを起こした場合には、つま先をスネの方に近づけるように(ふくらはぎの筋肉を延ばすように)すると治ります。治った後はマッサージをして血流が良くなるようにしましょう。

 

○むくみ
  むくみは妊娠中毒症の一つとして注意すべき症状ですが、単独でむくみだけが出たり消えたりする場合もあり、妊娠中毒症とは結びつかない場合もあります。手と下肢に起こりやすく、手では握りにくさやしびれとして、下肢では靴が履けなくなったり靴下の跡が残るなどで気がつかれることが多いようです。
 妊娠中には身体に水分を貯留する方向に働いていることや、側臥位で寝ることによる腕の圧迫、子宮の圧迫による下半身のうっ血 などが原因と考えられます。
 長い間立ちっぱなしでいるのを避ける、就寝時に足を高くする、水分・塩分の摂取を控えるなどで軽快することが期待できますが、それでも悪化していくようであれば妊娠中毒症を疑う必要があります。

 

○おりもの
  妊娠によりホルモンの変化が起こると、代謝が盛んになって膣内の分泌物(おりもの)は増加します。
 従って、多少の増加は正常と考え、清潔に注意するだけでよいのですが、かゆみや痛がゆさを伴う時は検査が必要です。妊娠によりプロゲステロンが大量に分泌されることでカンジダが増殖しやすい状況になり、カンジダによる膣炎や外陰炎を発生しやすくなるためです。
 医師に薬を処方してもらって治療すればすぐに治りますが、分娩時にカンジダ性膣炎が続いていると胎児に感染して出生後に鵞口瘡(がこうそう;口内炎の一種)やお尻のカンジダ性皮膚炎(おむつかぶれの一種)を起こすことがあるので、必ず治療してもらって下さい。

 

○静脈瘤
  子宮が大きくなってくると骨盤内で血管を圧迫するようになりますが、この時動脈よりも静脈の方が圧迫を受けやすいために血流のうっ滞が起こりやすくなります。このため静脈圧が上昇し、これが静脈壁の弱い部分に圧迫をかけるためにその部分は徐々に膨らんでくるようになります。これが静脈瘤です。
 就寝時に足を高くして寝ること、弾性靴下(エラスティック・ソックス)、サポートタイプのストッキングなどを使用することなどで進行を防ぐようにすると良いでしょう。また、適度の運動は下半身の血流を改善する効果がありますので大事なことです。
 出産直後は血液が固まりやすくなっていることもあり、血流速度の遅い静脈瘤の部分に血栓を作りやすいので、分娩直後から足を高くしてやすみ、早期に歩くように注意して下さい。