レディースホームFAQF.STD(性行為感染症)に関するもの編

4.尖圭コンジローマについて

 

 

 現在ではコンジローマというと一般には尖圭コンジローマのことを指しますが、1960年以前にはコンジローマというと扁平コンジローマのことを意味しました。
 扁平コンジローマというのは梅毒により起こる病変で、バラ疹に次いで現れる梅毒第二期の特徴ともいえるものです。潰瘍状の病変を形成し多くは悪臭を放つものですが、この病変の初期には白い点状斑を伴う隆起性の病変のため尖圭コンジローマとの鑑別が必要になります。
 実際尖圭コンジローマがウイルス性病変であると確定されていなかった時代には扁平、尖圭の区別がされていなかったわけで、このような歴史があるために現在「尖圭」コンジローマという名前で別の疾患として区分されているわけです。
 

 さて、近年問題視されている尖圭コンジローマの方は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の6、11型により起こります。
 尖圭コンジローマ病変の特徴は外陰部(または膣内、子宮頸部など)に発生する、鶏冠様の突起物であり、「尖った小さなできものが触れる」として自覚されます。
 通常は突起物を触れる以外に症状はありませんが、カンジダを合併してかゆみを感じる場合もよく見られます。   

 感染は性行為によるもので、感染してから3ヶ月ほどの潜伏期間を経て発症します。
 最初はちいさな「イボ」のようなできものとして自覚しますが、そのうちに先端が尖っているものとして自覚するようになります。これが「尖圭」の名前の由来でもあります。米粒状のものから、大きなものではふきのとうほどになるものもあります。外陰部や膣内には認められるものの、大腿や臀部にまで拡がることはなく、また男性側では亀頭部分に認められることがほとんどで、こちらも陰部以外には拡がることはありません。  

 治療は電気凝固、レーザー蒸散、冷凍療法などで外科的に切除する方法と、抗ガン剤の軟膏を塗布する方法とがあります。
 前者では肉眼的に確認できない病変を治療し残す可能性があり、これが後にまた発生してくる場合があることが欠点となります。後者では治療し残す可能性が少ない代わりに治療に時間がかかるということ、正常皮膚の部分に薬の副作用による潰瘍性病変を形成することがあるということが欠点となります。  

 再発という言葉を良く耳にしますが、コンジローマはきちんと治療すれば再発することはありません。 再発といわれるその多くは外科的切除で治療し残したものか、もしくは完璧に治療しないまま治療を終えてしまったもの、あるいは性行為により新たに感染を起こした場合のいずれかだと思います。  

 最後に妊娠との関係ですが、妊娠中に感染したり感染したまま妊娠したとしても、母胎内にいる胎児へは直接影響はしないので、胎児奇形を起こす心配はありませんが、分娩時に産道感染して性器の尖形コンジローマや小児喉頭乳頭腫を起こすことがあるため通常は帝王切開による分娩の適応となります。
 また、妊娠中に病変が一時的に悪化することがありますが、妊娠終了とともに退縮することも多く、従って妊娠中は治療をせずに経過を見るという場合もあります。